2013年3月28日木曜日

スローセックス実践講座3

スローセックス実践講座(11)「イク」より大切な「感じる」

スローセックス実践講座 イギリスのコンドームメーカー・デュレックス社が、昨年行った世界のセックス意識調査によれば、日本人のセックスの満足度はたったの15%で、26カ国中最下位でした。非常に残念な結果となった原因のひとつが、日本人の大多数が、「イク」ことをセックスの目的にしていることです。

「イク」ことに重心が傾きすぎたセックスは、どうしても、イケたら満足、イケなかったら不完全燃焼という短絡的なセックスに陥りやすいのです。

 対して、スローセックスの最大のテーマは、「感じる」を楽しむことです。

 本当に多くの男女が混同しているのですが、「イク」と「感じる」は、似て非なるものです。私のスクールでは、両者の違いを説明するとき、“水の入ったコップ”を例に出します。「感じる」とは、コップに水が注がれてたまっていっている状態。そして、「イク」とは、水面がコップの上まで来てコップから水があふれ出す瞬間のことです。

 “たまっている”と“あふれ出す”では、まったく現象が違うのです。

 食事(食欲)に置き換えれば、両者の違いがもっと明確にイメージできます。イク=「満腹」で、感じる=「味わい」です。若いころなら、おなかが膨れることが何よりも重要だった食の価値基準が、年齢を重ねるにつれて、量は少なくてもいいから美味しいものを数多く食べたい、という風に変化してきますよね。実は、セックスも食生活同様に、量から質へ変化していかなければ、年齢に応じた満足度は得られないのです。

 過去の射精を思い返してみてください。同じ射精でも、“満足のいく射精”もあれば、“残念な射精”もありませんか?

 この快感の差こそ、射精の寸前にコップにたまっている水量の差に他なりません。男性が、女性をイカせたくてもイカせられなかったのも、多くの女性がセックスの現状に不満の声をあげるのも、男性が、女性のコップに「感じる水」を満足にためてあげられなかったからです。

 スローセックスとは、愛する男女が時間を忘れて“感じる”を楽しむことで、性的エネルギーの総量を限界まで高めていくセックスです。自然と、セックスにかける時間も、2時間、3時間は当たり前の世界になります。当然、性的エネルギーはコップに並々とたまることになり、自然と爆発現象に至るのです。

 イクは「目的」ではなく、セックスの醍醐味である、感じるを楽しんだ2人へのご褒美という「結果」であると心得てください。

スローセックス実践講座(12)“ねちっこさ”と“唾液”の使い方

彼女と奥さんを惚れ直させるスローセックス実践講座
スローセックス実践講座 最近は、自ら「オヤジ好き」を公言する若い女性が少なくありません。昔から年上の男性にひかれる女性、いわゆるファザコン気質の女性というのはいました。それが今は、ニートやフリーターという生き方の一般化が進む中で、同世代の男性に経済的な面でも精神的な面でも頼りなさを感じる女性たちの受け皿として、一躍オヤジ世代がカレシ候補として浮上してきたのです。

 社会学的な分析をするならば、援助交際ブームを経験して、オヤジへの抵抗が減少している社会背景の中で、格差社会の反動として、若い女性たちの浮動票がオヤジに流れている状況であると考えられます。この千載一遇のチャンス(?)を生かすも殺すもあなた次第。ただの足長おじさんにならないためには、ベッドの上でも若い女性の期待に応えてあげる必要があります。

 そこで今回検証したいのが、いわゆる“オヤジテクニック”。オヤジテクニックから連想される言葉に、“ねちっこさ”があります。若い男性たちは、ともすれば、勢いと回復力にまかせて、ピストン一辺倒の淡泊で短絡的なセックスになりがちです。これは、本来濃密でエロチックな行為であるセックスとはかけ離れたものです。だから女性は満足できない。

 ここに中高年世代が付け入るすきがあるのですが、肝心の中高年が、“ねちっこさ”を取り違えていることが多々見受けられます。

 最大の間違いは“唾液(だえき)”の使い方です。例えばキスのとき、お互いに十分に盛り上がって、自然と相互の唾液が口の中で混ざり合うのならいいのですが、キスの序盤から、自分の唾液を女性に逆流させる男性がとても多い。耳をなめるとき、耳の穴の中に唾液が入ってくるほど、耳を唾液でベチャベチャにするなど最悪のパターンです。

 唾液の量が多いほどエロチックだと考えるのは完全なる男性の一方通行で、多すぎる唾液はほとんどの女性にとって気持ち悪い液体でしかありません。女性という生き物は、特にセックスの序盤戦は、ウソでもいいから“美しく愛されたい”のです。

 せっかく、この男性なら「抱かれてもいい」と盛り上がった感情も、たばことお酒の入り交じった臭い唾液が、一瞬にしてかき消してしまいます。この価値観の違いを、理解しなければ、女性が求める本当に濃密でエロチックな行為には到達できないのです。

 唾液はわざと出すものではなく、自然と出てくる唾液をあえてセーブするくらいの紳士的配慮を持つことが、本当のオヤジテクニックだと心得ましょう。
(2007.11.30紙面掲載)

スローセックス実践講座(13)絶対的な“官能美”  

彼女と奥さんを惚れ直させるスローセックス実践講座
スローセックス実践講座
 “美人”の基準は、時代やお国柄によっても多種多様です。太っていればいるほど美しいとされる国もあれば、首が長いほど美しいという人々もいる。さしずめ今の日本で美人とされるのは、小顔で胸が大きくウエストがくびれている女性ということになるのでしょうか? しかしこのような基準は、あくまでも、“表面的な美”に過ぎません。

 多くの人々が気付いていませんが、実は、国や時代の流れにも左右されることのない、絶対的な美の基準というものが存在しているのです。それが、女性の“官能美”です。

 なぜ知る人が少ないのか? 理由は簡単。男性が、女性を官能させるための知識と技術を持ち合わせていないからです。女性の裸体が美しいということは、多くの芸術家が裸婦をモチーフにして美を追い求めてきたように、誰もが認めるところです。女性の裸体は男性を魅了してやみません。けれども、官能美は、外見的な美醜とは全く別の所にあると言っていい。

 ファッションモデルのような素晴らしいボディーの持ち主とセックスをしたとしても、その女性がベッドの上でマグロ状態なら、いとおしいとは思えなくなってくるはずです。

 官能とは、いわゆる“イク”という現象ともニュアンスが異なります。「ウッ」という程度の絶頂を女性に与えることは、ある程度の経験を積めばそれほど難しいことではありません。官能とは、瞬間的なものではないのです。感じている状態が継続される中で、男性の愛のエネルギーと女性の愛のエネルギーが複雑に絡み合い、女性の美が内面的な部分まで含めて発酵熟成されて変質していく様子が、刻一刻と出現する状態のことです。

 目は潤み、ほおの紅潮が紅葉するように全身に広がり、あえぎ声を漏らし、下腹部は絶えず硬直と弛緩(しかん)を繰り返し、全身をけいれんさせて、身をくねらせる…。想像するだけでも美しいとは思いませんか?

 多くの男性が女性の官能美に触れることができないのは、己の性欲を満たすことがセックスの第一目的になっているからです。女性を官能させる唯一のメソッドは、女性を愛して愛して愛し抜くことです。そのためには、射精欲から一歩距離を取って、自分のためではなく、女性を喜ばせるためにセックスをするという意識が重要なのです。一度でも女性の官能美に触れることができれば、セックスの価値観そのものが、ガラリとかわってくるはずです。
(2007.12.07紙面掲載)

スローセックス実践講座(14)女性への喜びの基本は「超ソフトに」

彼女と奥さんを惚れ直させるスローセックス実践講座
スローセックス実践講座 スローセックス初心者に、「スローセックスとはどんなセックスですか?」とたずねられたとき、私は「ずっと前戯が続くようなセックスですよ」と答えるようにしています。

 しかし、この答えだけでスローセックスを理解してくれる人はあまり多くありません。ほとんどの人が、「それで挿入後はどうしたらいいのでしょうか?」と続けてくる。

 これはもうセックスに対する価値観の違い、という以外にないのですが、私にとってセックスは、最初から最後まで女性を愛し続ける行為です。それはつまり、女性をずっと感じさせてあげるということです。

 女性を感じさせるメソッドとは、女性の全身にちりばめられた性感帯のすべてを、隅々まで丹念に精魂込めて優しく愛撫し続けることです。

 女性の膣は、説明を待つまでもなく性感帯の宝庫です。ですから私はメソッドに従い、他の性感帯同様に、ゆったりと時間をかけて丹念に愛撫を続けるのです。

 しかるに、「挿入後は?」に対する私の答えは、「交接とは“ペニスによる膣への愛撫”です」となります。しかし、この段階でも、納得してひざを打ってくれる人は3割未満です。

 一般男性の多くは、セックスは、キスしてちょっと前戯があって、フェラチオしてもらってから挿入してピストン運動して射精したら終わりだと思っている。15分の前戯に5分の挿入。アベレージ20分の、男性本位の射精行動。このようなジャンクセックスで、女性がセックスの本当の喜びを味わえるはずがありません。

 「挿入されても気持ち良くない」「一度も膣でイッたことがない」という女性にとって、挿入に対する意識は、男性が射精するまでの時間「膣を貸してあげている」という感覚です。

 “AVを教科書にする愚”を体現する一般男性は、挿入するやいなや、猛烈な勢いでピストン運動を始めます。今流行の脳内メーカーで例えるなら、男性の脳が“射精”の二文字で埋め尽くされている状態。女性が“愛”を感じられなくて当然です。「摩擦は激しいほど快感も大きい」というのも、大きな誤解です。

 愛撫の基本は、“超ソフトに”です。女性の性感帯たる膣もその例外ではありません。ペニスで超ソフトに、膣内をくまなく精魂込めて愛撫してあげてください。交接の意識を、射精のための摩擦から“膣への愛撫”にシフトするだけで、あなたのセックスに対する女性の評価は、グンとアップするはずです。

スローセックス実践講座(15)男も受け身を楽しもう

彼女と奥さんを惚れ直させるスローセックス実践講座
 スクールのアンケート調査によれば、一般男性が前戯にかける平均時間は約15分でした。これは圧倒的に短かすぎます。全身に性感帯を持つ女性がセックスで本当の喜びを享受するためには、全身の性感帯を丹念に隅々まで愛撫してあげる必要があります。

 私は、女性を責める喜びを知らない男性受講生には、「最初は30分を目標にしてください」と指導しています。スローセックスは、単に「長い時間するセックス」をさすものではありませんが、ジャンクセックスから脱出するステップとして、前戯の時間延長は有効です。

 ところで、中高年の男性は、相対的に、若い男性と比べると“責め好き”な方が多いように思います。これ自体は結構なことなのですが、落とし穴もあります。「男は責めで、女は受け身」という旧態依然とした固定概念に縛られて、女性から十分に愛撫を受けていない男性がとても多いのです。

 セックスの醍醐味は、“相互愛撫・相互官能”です。お互いにお互いを好きなだけ愛撫して、時間の許す限り快感をむさぼりあうセックス。どうですか、想像するだけでも、とてもエロチックで気持ちよさそうな行為だとは思いませんか? 

 その理想形を実現するためには、ペニスだけではなく、男性も女性から十分に全身を愛撫してもらって“受け身の喜び”を知ることがとても大切なのです。

 多少、受け身に理解のある男性でも、自分の性感帯は、ペニス以外では、せいぜい乳首くらいだと思い込んでしまっている。とてもモッタイナイ話です。確かに、女性の性感レベルと比較にはなりませんが、男性も全身が感じるポテンシャルを秘めています。

 さて、重要なのはここからです。愛撫で相手を“感じさせる”ということは、相手に“愛のエネルギーを与える”ことです。物理的な刺激だけではなく、愛に心が感応するのです。これがセックスの本質です。だから気持ちいいし、幸せな気持ちになれる。そしてセックスで得られる快感は、「愛のエネルギー」の総量に比例するということ。私の言う“相互愛撫”とは、愛のエネルギーのキャッチボールのようなものだとイメージしてください。

 このキャッチボールを相互に繰り返すことで、愛のエネルギーは増幅され、興奮度が高まり、感じやすくなります。互いの感じる姿を見てさらに愛のエネルギーが増幅され…。この好循環が、果てしない官能の世界へ、男女を誘うのです。

 男性のみなさん、もっと受け身を楽しみましょう!

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